正直者が馬鹿を見るルールを作ることに対する弊害を囚人のジレンマで考える
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TL;DR
- 正直者が馬鹿を見るルールを作ると誰も得をしない(当たり前)
- 囚人のジレンマは開発プロジェクトの運営にも関係がある
前提
チーム全体にコストが発生するような問題があるとする それを解消するために、チーム全体に負担をかけるルールを新たに設定するとする。 (ルールを尊守するためのコストは問題発生時のコストよりは低いものとする)
新たなルールを尊守した場合と無視した場合をチームメンバーが2人だったと仮定してシミュレーションしてみる
シミュレーション1:正直者が馬鹿を見るルールの場合
新たに設定するルールが正直者が馬鹿を見るようなルールの場合を考える。 正直者が馬鹿を見るルールとは具体的には以下の条件である
- 2人ともルールを無視すれば、2人とも問題発生時のコストから逃げられない(コスト +3 とする)
- 2人ともルールを尊守すれば、2人ともルール尊守のためのコストを負う(コスト +1 とする)
- 片方がルールを無視した場合、ルールを 尊守した方 が2人分の問題発生時のコストを負わなければならない
| | A:尊守 | A:無視 | |--------|--------------|--------------| | B:尊守 | (A:+1, B:+1) | (A:+0, B:+6) | | B:無視 | (A:+6, B:+0) | (A:+3, B:+3) |
この場合、お互いにルールを尊守するほうがチーム全体のコストとしては低くなる。 しかしメンバー個人が自分の利益のみを追求している限り、ルールを無視するほうがコストが低くなりチーム全体のコストは下がらないという結果に陥る。 まさに 囚人のジレンマ と同じ状況になる。
シミュレーション2:正直者が馬鹿を見ないルールの場合
新たに設定するルールが先程とは逆で、正直者が馬鹿を見ないルールの場合を考える。 直者が馬鹿を見ないルールとは具体的には以下の条件である
- 2人ともルールを無視すれば、2人とも問題発生時のコストから逃げられない(コスト +3 とする)
- 2人ともルールを尊守すれば、2人ともルール尊守のためのコストを負う(コスト +1 とする)
- 片方がルールを無視した場合、ルールを 無視した方 が2人分の問題発生時のコストを負わなければならない
| | A:尊守 | A:無視 | |--------|--------------|--------------| | B:尊守 | (A:+1, B:+1) | (A:+6, B:+0) | | B:無視 | (A:+0, B:+6) | (A:+3, B:+3) |
この場合も先程と同じで、お互いにルールを尊守するほうがチーム全体のコストとしては低くなるという状況は変わらない。 メンバー個人が自分の利益のみを追求したとしても、ルールを無視するより尊守するがコストが低いためチーム全体のコストを下げることが出来る。
結論
- 正直者が馬鹿を見るルールを作ると、メンバー遠しの足の引っ張りあいが始まる
- ルールを作るは良いがよく考えて、正直者が馬鹿を見ないようにする必要がある